代表挨拶

中枢神経の炎症性脱髄疾患である多発性硬化症、視神経脊髄炎関連疾患は厚生労働省の指定難病であり、原因不明で根治療法がまだありません。また、最近抗MOG抗体関連脱髄疾患の疾患概念が確立されつつあり、小児発症の急性散在性脳脊髄炎や成人の自己免疫性脳炎の中に抗MOG抗体関連脱髄疾患が紛れていることが分かってきています。さらに、多発性硬化症の患者さんの数は増え続けており、働き盛りの年代での発症は大きな経済的損失にも繋がっていると思われます。一方、根治療法には至っていないものの、多発性硬化症や視神経脊髄炎関連疾患の治療薬の開発状況は目まぐるしく、今後数年の間にも多くの新たな治療薬の承認が期待されています。私たちはこのような現状の中、日本における中枢神経炎症性脱髄疾患の診療レベル向上や治療薬開発の促進を図るため、特定非営利活動法人「日本多発性硬化症ネットワーク」を立ち上げ、2011年からほぼ毎年開催しているSendai Conferenceを継承していくことと致しました。これまでのSendai Conferenceでは、米国のLawrence Steinman教授、Howard Weiner教授、Scott Zamvil教授、Brian Weinshenker教授、Vanda Lennon教授、英国のAngela Vincent教授など、この分野の錚々たる大御所にも参加いただき、交流を深めて参りました。次回のSendai Conference 2020は2020年7月11日に仙台市内にて開催予定で、海外からMarkus Reindl教授などのエキスパートを招聘して全編英語での国際会議を企画しています。若手研究者の国際的な感覚を身につけていただく場として非常に好評を得ており、多発性硬化症の診療や神経免疫学に興味のある脳神経内科医、内科医、小児科医、眼科医、脳神経外科医、神経学研究者、免疫学研究者のご参加を期待します。また、医療関係者や患者さん向けの講演会やセミナーなども企画していく予定ですので、ご賛同いただける皆様からのご支援をお待ち申し上げます。


特定非営利活動法人日本多発性硬化症ネットワーク
理事長 中島一郎